減価償却資産の耐用年数

減価償却資産の耐用年数とは? 一覧と適用のポイント解説

減価償却資産の耐用年数は、「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」(昭和40年大蔵省令第15号)によって定められています。計上する際は、償却資産の種類によって耐用年数が異なるため、それぞれ確認する必要があります。

今回は、中小事業者向けに「法人税法」の規定に沿って、耐用年数を適用するポイントや、資産ごとの年数一覧、耐用年数が経過したらどうするのかについてまとめて解説します。

耐用年数とは?

耐用年数とは、簡単に言うと「資産を使用することができる期間」のことです。

固定資産の中には、パソコンや車のように経年劣化や使用による損耗で年々価値が減っていくものがあります。それらの資産は使用開始から法定耐用年数に従って、減価償却処理を行います。

例えば、減価償却を行う資産の耐用年数が15年であれば、15年にわたり経費として計上します。

もし購入金額が同額の資産であっても、耐用年数が長いものは毎年の減価償却費が少なく、短いものは毎年の減価償却費が大きくなります。

通常の使用条件で、通常の維持補修を加える場合などを前提として定められているため、同じ資産でも使用用途により耐用年数が異なることがあります。

耐用年数と耐久年数の違いとは?

耐用年数は、前述のように税法上の使用可能期間、その年数は「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」(昭和40年大蔵省令第15号)によって定められています。

一方、耐久年数は、メーカーなどの独自判断により「これくらいの年数であれば使用に問題ないだろう」として提示しているものです。あくまで使用可能な「目安」として考えるのが無難です。

耐用年数を適用する際のポイント

減価償却資産に耐用年数を適用する際は、以下のようなポイントに注意しましょう。

① 減価償却資産の経済的使用価値によって判断する

耐用年数は資産の材質や構造、使用環境や用途などを踏まえて判断します。

例えば、同じ木造・合成樹脂造の建物であっても、事務所に用いる場合と飲食店に用いる場合では使用環境が違うため、減価償却の耐用年数も異なります。

② 貸与資産は基本的に貸付先の用途で判断する

他人に貸付けをしている減価償却資産については、原則、貸付先での使用用途などに応じて判断します。

ただし、「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」の別表において、貸付業用として特掲されている場合はこの限りではありません。

③ 資産を修繕した場合、新たな減価償却資産とされるケースもある

減価償却資産の修繕を行った際、その費用は資本的支出なのか修繕費なのかによって処理方法が異なります。

資本的支出

減価償却資産の価値を高めたり、使用可能期間が延長すると認められる修理・改良費用のこと。

修繕費

通常の維持管理や原状回復のために要した費用のこと。

2007年4月1日以降に資本的支出に該当する修繕を行った場合、資産本体と同じ種類・耐用年数の新たな減価償却資産を取得したものとされ、それに応じた処理を行います。

一方、修繕費に該当する場合は減価償却せず、経費として一括で計上します。マンションやビルの大規模修繕についても、判断の方法は同様です。

主な減価償却資産の法定耐用年数一覧

主な減価償却資産の耐用年数表をまとめたので参考にしてみてください。

建物の耐用年数

建物の耐用年数は、構造や用途により細かく定められています。

例えば、木造のログハウスの場合、住宅としての使用であれば22年、飲食店としての使用であれば20年で減価償却を行います。

<建物の耐用年数表>

構造・用途細目耐用年数
木造・合成樹脂造のもの事務所用のもの24
店舗用・住宅用のもの22
飲食店用のもの20
旅館用・ホテル用・病院用・車庫用のもの17
公衆浴場用のもの12
工場用・倉庫用のもの(一般用)15
木骨モルタル造のもの事務所用のもの22
店舗用・住宅用のもの20
飲食店用のもの19
旅館用・ホテル用・病院用・車庫用のもの15
公衆浴場用のもの11
工場用・倉庫用のもの(一般用)14
鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造のもの事務所用のもの50
住宅用のもの47
飲食店用のもの
延べ面積のうちに占める木造内装部分の面積が30%を超えるもの34
その他のもの41
旅館用・ホテル用のもの
延べ面積のうちに占める木造内装部分の面積が30%を超えるもの31
その他のもの39
店舗用・病院用のもの39
車庫用のもの38
公衆浴場用のもの31
工場用・倉庫用のもの(一般用)38
れんが造・石造・ブロック造のもの事務所用のもの41
店舗用・住宅用・飲食店用のもの38
旅館用・ホテル用・病院用のもの36
車庫用のもの34
公衆浴場用のもの30
工場用・倉庫用のもの(一般用)34
金属造のもの事務所用のもの
骨格材の肉厚が、(以下同じ。)4mmを超えるもの38
3mmを超え、4mm以下のもの30
3mm以下のもの22
店舗用・住宅用のもの
4mmを超えるもの34
3mmを超え、4mm以下のもの27
3mm以下のもの19
飲食店用・車庫用のもの
4mmを超えるもの31
3mmを超え、4mm以下のもの25
3mm以下のもの19
旅館用・ホテル用・病院用のもの
4mmを超えるもの29
3mmを超え、4mm以下のもの24
3mm以下のもの17
公衆浴場用のもの
4mmを超えるもの27
3mmを超え、4mm以下のもの19
3mm以下のもの15
公衆浴場用のもの
4mmを超えるもの31
3mmを超え、4mm以下のもの24
3mm以下のもの17

(引用:耐用年数(建物/建物附属設備)|国税庁【確定申告書等作成コーナー】)​​

建物附属設備の耐用年数

建物附属設備とは、建物に固着され、建物の使用価値を上げるものを指します。例えば、エレベーター、自動ドア、冷暖房設備、電気設備などです。

建物附属設備は、原則として建物本体とは区分して適用し、減価償却を行います。ただし、木造、合成樹脂造り又は木骨モルタル造りの建物附属設備については、建物と一括して適用することができます。

<参照>
耐用年数(建物/建物附属設備)|国税庁【確定申告書等作成コーナー】​​

構築物の耐用年数

構築物とは、土地の上に造られた建物以外の工作物や土木設備のことを指します。例えば、橋、塀、門、トンネルなど、建物に附属せずに機能するものです。
<参照>
耐用年数(構築物/生物)|国税庁【確定申告書等作成コーナー】​​

車両・運搬具の耐用年数

車両の耐用年数は、用途や総排気量などによって定められています。

例えば、営業回りに使う車が軽自動車以外の普通自動車であれば、「一般用のもの(特殊自動車・次の運送事業用等以外のもの)」の「その他のもの」に当たるので耐用年数は6年です。

車両を購入する際、オプションとしてドライブレコーダーなどを取り付けた場合。その費用は車両の取得価額に含めて減価償却を行います。

中古車などの中古資産に後述しているのでそちらを参考にしてください。

<車両・運搬具の耐用年数表>

構造・用途細目耐用年数
一般用のもの(特殊自動車・次の運送事業用等以外のもの)自動車(2輪・3輪自動車を除く。)
小型車(総排気量が0.66リットル以下のもの)4
貨物自動車
ダンプ式のもの4
その他のもの5
報道通信用のもの5
その他のもの6
2輪・3輪自動車3
自転車2
リヤカー4
運送事業用・貸自動車業用・自動車教習所用のもの自動車(2輪・3輪自動車を含み、乗合自動車を除く。)
小型車(貨物自動車にあっては積載量が2トン以下、その他のものにあっては総排気量が2リットル以下のもの)3
大型乗用車(総排気量が3リットル以上のもの)5
その他のもの4
乗合自動車5
自転車、リヤカー2
被けん引車その他のもの4

(引用:耐用年数(車両・運搬具/工具)|国税庁【確定申告書等作成コーナー】)​​

器具・備品の耐用年数

器具・備品は、業務で使用する家具や電気機器、パソコン、時計(腕時計含む)などを指します。

ちなみに、一般的な家庭用エアコンの場合は器具・備品扱いのため6年ですが、ダクトを通じて相当広範囲にわたって空調できる機能を備えたエアコンであれば、建物附属設備扱いとなり13年または15年となります。

<器具・備品の耐用年数表(一部抜粋)>

構造・用途細目耐用年数
家具、電気機器、ガス機器、家庭用品(他に揚げてあるものを除く。)事務机、事務いす、キャビネット
主として金属製のもの15
その他のもの8
応接セット
接客業用のもの5
その他のもの8
ベッド8
児童用机、いす5
陳列だな、陳列ケース
冷凍機付・冷蔵機付のもの6
その他のもの8
その他の家具
接客業用のもの5
その他のもの
主として金属製のもの15
その他のもの8
ラジオ、テレビジョン、テープレコーダーその他の音響機器5
冷房用・暖房用機器6
電気冷蔵庫、電気洗濯機その他これらに類する電気・ガス機器6
氷冷蔵庫、冷蔵ストッカー(電気式のものを除く。)4
カーテン、座ぶとん、寝具、丹前その他これらに類する繊維製品3
じゅうたんその他の床用敷物
小売業用・接客業用・放送用・レコード吹込用・劇場用のもの3
その他のもの6
室内装飾品
主として金属製のもの15
その他のもの8
食事・ちゅう房用品
陶磁器製・ガラス製のもの2
その他のもの5
その他のもの
主として金属製のもの15
その他のもの8
事務機器、通信機器謄写機器、タイプライター
孔版印刷・印書業用のもの3
その他のもの5
電子計算機
パーソナルコンピュータ(サーバー用のものを除く。)4
その他のもの5
複写機、計算機(電子計算機を除く。)、金銭登録機、タイムレコーダーその他これらに類するもの5
その他の事務機器5
テレタイプライター、ファクシミリ5
インターホーン、放送用設備6
電話設備その他の通信機器
デジタル構内交換設備、デジタルボタン電話設備6
その他のもの10

(引用:耐用年数(器具・備品)(その1)|国税庁【確定申告書等作成コーナー】)​​

機械・装置の耐用年数

機械・装置とは、農業用設備や林業用設備、食料品や加工品の製造設備などのことです。

2008年の税制改正によって減価償却資産の区分と耐用年数が変更され、農業用設備は一律7年に制定されました。

<参照>
耐用年数(機械・装置)|国税庁【確定申告書等作成コーナー】​​

その他の資産の耐用年数

船舶、航空機、生物、植物、楽器、ガスコンロなど、その他の減価償却資産の耐用年数については、減価償却資産の耐用年数等に関する省令で確認することができます。

<参照>
減価償却資産の耐用年数等に関する省令 | e-Gov法令検索

ソフトウェア・ハードウェアの耐用年数は何年?

減価償却を行う際、よく疑問に上がるのがソフトウェアやデジタル機器などのガジェット系の耐用年数です。

アプリケーションソフトは、無形減価償却資産の「ソフトウェア」「その他のもの」に該当するため、耐用年数は5年です。

しかし、近年市場に出てきた最新機器の場合は耐用年数表を見ても判断が難しく、会計士や税理士の間でも解釈が分かれることがあります。

表に記載のないデジタル機器などを減価償却する場合は、何に使うためのものなのかを考え、適切な処理には専門家に相談するのが確実です。

<参照>
LAN設備の耐用年数の取扱いに関する質疑応答|国税庁

減価償却の方法

減価償却の計算方法や、中古資産の減価償却の仕方について説明します。

定額法と定率法の計算方法

一般的に減価償却費の計算方法は、大きく分けて「定額法」と「定率法」の2種類です。定額法は、毎年一定の金額を償却する方法で、定率法は毎年の残額に一定率を掛けた金額を償却する方法です。

定額法の計算式

減価償却費 = 取得価額 × 定額法の償却率

定率法の計算式

減価償却費 = 未償却残高 × 定率法の償却率

定額法は、資産の購入費用を毎年均等に償却していくため、計算が分かりやすい点がメリットです。一方、定率法は、初年度から数年は償却費が大きくになりますが、後になるにつれ金額が少なくなっていく仕組みです。

中古資産を減価償却する場合は?

中古資産を事業用として取得した場合には、法定耐用年数ではなく、資産取得以後の使用可能期間として残存耐用年数を見積もる方法が原則となります。原則で見積るのが困難な場合は、「簡便法」により算出します。

中古資産の耐用年数は、以下のような計算式で決定します。

中古資産を手に入れた時点で、既にその資産の法定耐用年数が経過してしまっている場合、「法定耐用年数 × 0.2 = 中古資産の耐用年数」となります。

法定耐用年数を超過していない中古資産の場合、「法定耐用年数 - 経過年数 + 経過年数 × 0.2 = 中古資産の耐用年数」となります。

(※どちらの場合も1年未満の端数は切り捨て、その年数が2年に満たない場合は2年とする)

業務用に購入した中古車の耐用年数が知りたい時などは、この計算式を使用しましょう。

減価償却の耐用年数が終わったら?

資産の減価償却を行っていくと、最後には1円の残存簿価が残ります。ただし、ソフトウェアなどの無形固定資産の残存価額は0円です。対象の資産は耐用年数が過ぎてもそのまま使い続けることができます。

減価償却は法定耐用年数に応じて行おう

耐用年数の適用は、減価償却の計上に欠かせない知識です。対象の資産の耐用年数を間違えると、減価償却の計算も誤ったものになってしまいます。しっかりポイントを押さえて、減価償却を正しく行いましょう。

<この記事のポイント>

  • 耐用年数は、国税庁によって減価償却資産に定められた「使用可能期間」
  • 国税庁のウェブサイト内の耐用年数表で確認できる
  • 同じ減価償却資産でも用途によって耐用年数が異なることがある
  • 耐用年数経過後でも、資産は使用することができる

比較